毎月発行される香川県建設労働組合の機関誌「香川建設ユニオン」において、保健師による健康に関する記事を連載しています。
こちらでは、過去に掲載された記事をご紹介しています。
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令和7年6月号に掲載
2025-06-10
【保健師だより】熱中症による死亡災害が多発! 熱中症対策が義務化へ
厚生労働省によると職場での熱中症による死亡災害は3年連続で30人を超えています。死亡に至る割合は、他の災害より約5~6倍多い状況で、死亡者の約7割は屋外作業であるため、気候変動の影響により更なる増加が懸念されています。初期症状の放置と対応の遅れが原因とされ、3月の労働安全衛生規則の見直し検討会で、事業者に対し熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐための対応を義務付ける方針が決定されました。義務の対象は、暑さ指数(WBGT)28度以上、または気温31度以上の環境で「1時間以上の連続作業」または「1日4時間以上の作業」が行われる現場とされ、対応例は次のとおりです。6月1日から施行され、事業者が対応を怠った場合、6か月以下の懲役または罰金50万円の罰則が科される可能性があります。
熱中症のおそれのある者に対する対応の例
- 熱中症のおそれのあるものを発見
【他覚症状】ふらつき、生あくび、失神、大量の発汗
【自覚症状】めまい、筋肉痛、手足がつる、頭痛、不快感、吐き気、倦怠感、汗が止まらない、汗が出ない
返事がない、ぼーっとしているなど、普段と様子が違う場合も熱中症のおそれありとする。
- 作業離脱
医療機関までの搬送の間や経過観察中は、一人にしない。
- 医療機関への搬送
必要に応じて、救急隊を要請。迷う場合は、#7119(救急安心センター、24時間対応可能)や病院等に相談。
回復後も体調急変の可能性があるため、連絡体制もあらかじめ決めておく。
厚労省のホームページにも掲載されています。あくまでも参考例のため、現場の実情にあった内容にしましょう。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
~健康に関するご質問、ご相談について、お気軽にご連絡ください~

令和7年5月号に掲載
2025-05-10
【保健師だより】令和7年度より帯状疱疹ワクチンが定期接種になりました
今まで帯状疱疹ワクチンは任意接種でしたが、令和7年4月より65歳以上を対象に定期接種となりました。
帯状疱疹とは?
定期接種対象者
- 令和7年度内に65歳になる方
- 60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
*令和7年度から5年間の経過処置として、その年度に70、75、80、90、95、100歳になる方も対象となります。
*令和7年度に限り、100歳以上の方は全員対象となります。
ワクチン接種する方法と費用
定期接種は住民票のある市町村で実施されます。ワクチンを接種できる医療機関や費用、申し込み方法などについては、お住いの市町村にお問い合わせください。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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令和7年4月号に掲載
2025-04-10
【保健師だより】高尿酸血症
プリン体は、食品から摂取するものが約2割、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝によって作られるものが約8割とされています。このプリン体が肝臓で代謝されると尿酸に変わります。
高尿酸血症は、血液中に含まれる尿酸が1dlあたり7mgを超えた状態を指し、7mgを超えると、関節の中で尿酸が溶けきらずに結晶化していきます。尿酸塩結晶が、なにかのはずみで剥がれると、炎症がおこり、激しい痛みや腫れが生じます。結晶は、関節の中でも膝から先の関節に溜まりやすく、特に足の親指の付け根は負荷がかかりやすく、冷えやすいことも要因となって痛風発作が現れやすくなっています。その他、足の甲、足首、くるぶし、手の指、手首、肘などでも痛風発作が起こることがあります。
また尿酸値が高い状態が長く続くと結晶が増え続け、足の親指や膝、肘、耳などにコブのような痛風結節ができるようになります。放置すると動きが悪くなったり、変形することがあります。それ以外にも、尿路結石や慢性腎臓病を合併しやすくなります。
尿酸値を上げないポイント
①適切なエネルギー摂取
肥満度や体脂肪率が高いと、それに伴い尿酸値も高くなります。
②プリン体の多い食品を摂りすぎない
レバー、白子、干物は特に多く含まれています。
③飲酒を控える
アルコールは、体内で代謝される際に尿酸を過剰に作るため、飲酒量が多いほど尿酸値が上がります。
④果糖の多い食品を摂りすぎない
果糖は、代謝される際にプリン体の分解を促進して、尿酸値を上げます。清涼飲料水や果物ジュースは控えましょう。生の果物は、ビタミンCや食物繊維が豊富であるため、尿酸値を上げません。
⑤尿酸値を下げる食品の利用
牛乳・乳製品、コーヒーは、尿酸値を下げる働きがあります。尿酸値が高い人は、低脂肪の牛乳がおすすめです。またビタミンCも尿酸値を下げるので、積極的に野菜を摂りましょう。
サプリメントにも要注意
健康食品やサプリメントの核酸やビール酵母などには多くのプリン体が含まれています。少量でも毎日摂ることで、摂取量が増えるので注意しましょう。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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令和7年3月号に掲載
2025-03-10
【保健師だより】慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病は、腎臓の機能が低下している状態です。糖尿病、高血圧、メタボリックシンドローム、喫煙、高齢等が原因で、腎臓の血管が痛み発症します。日本では、20歳以上の5人に1人が、その疑いがあると言われています。気付きにくく、進行すると透析治療が必要になります。
近年、慢性腎臓病対策が注目されています。
慢性腎臓病予防法
とにかく減塩
食塩を減らすと腎臓の負担が減ります。 汁物は1日1杯までにする、醤油やソースは、かけずに【つける】、漬物・ふりかけ・加工食品は控えめにする、食事は腹八分目にすることを心がけましょう。
脂質
悪玉(LDL)コレステロールは、血管を痛めるので120mg/dl未満を目指しましょう。菓子パン、乳製品(生クリーム、アイス、牛乳、ヨーグルト)、高脂肪肉、チョコレート、揚げ菓子は、悪性コレステロールを上げやすい食品とされています。
運動
有酸素運動は、血管がしなやかになり、腎機能の低下スピードが緩やかになります。1日10分多めに歩くことから始めてみましょう。
禁煙
喫煙は、血管を収縮させ、腎臓への血流が低下します。また、有害物質により腎臓の血管が傷つき腎機能低下を招きます。
肥満の解消
内蔵脂肪型肥満とメタボリックシンドロームは、慢性腎臓病発症・進行リスクが高まります。腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の方は生活習慣を見直しましょう。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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令和7年2月号に掲載
2025-02-10
【保健師だより】健康に配慮した飲酒
2013年に〈アルコール健康障害対策基本法〉が施行され、その一環で2024年2月、日本初の〈飲酒に関するガイドライン〉が策定されたので、ご紹介します。
1.年齢の違い
高齢になると、肝臓の働きが弱まりアルコール分解が遅くなります。また体内の水分量も減るため血中のアルコール濃度が上がり、酔いやすくなります。
2.性別の違い
女性は男性と比べて、体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も少ないため、影響を受けやすいと言われています。その為、男性と比べて少量かつ短期間でアルコール性肝硬変になる恐れがあります。
3.体質の違い
アルコール分解酵素の働きの強さが、人によって異なります。働きが弱いと、顔が赤くなったり、動悸や吐き気、頭痛等(フラッシング反応)が起こる場合があります。分解酵素の強弱は、遺伝的要因により決まりますが、日本人の約4割は弱いタイプと言われています。
分解酵素が弱いタイプは、毎日飲酒を続けると、口腔がんや食道がんのリスクが高くなることが分かっています。強いタイプは、飲酒が習慣化しやすく、アルコール依存症のリスクが高くなります。実際に、アルコール依存症の9割がこのタイプです。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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