毎月発行される香川県建設労働組合の機関誌「香川建設ユニオン」において、保健師による健康に関する記事を連載しています。
こちらでは、過去に掲載された記事をご紹介しています。
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令和5年12月号に掲載
2023-12-10
【保健師だより】ヒートショックに注意

寒い季節は、入浴死(入浴中またはその前後で起こる突然死)が増加します。
厚労省によると、令和3年度の高齢者の浴槽内での不慮の溺死、溺水死亡者数は4750人でした。心疾患や脳血管疾患等、溺死以外の病気が死因と判断されるケースもあり、実際には更に多いと考えられます。
入浴死の原因は、血圧変動による健康被害(ヒートショック)です。暖房のきいた部屋から、冷えた脱衣所、浴室へ行くと血管が縮まり血圧が上昇します。その後、温かい浴槽に入ると血管が広がり血圧が下がります。この急激な血圧変動の結果、不整脈や心疾患、脳血管疾患を引き起こし、亡くなったり、失神し溺死に繋がります。
【リスクの高い方】
1.65歳以上の方
2.高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の方
3.不整脈の方
【予防方法】
温度差をなくすことがポイントです。
1.脱衣所や浴室を温める
脱衣所に暖房器具を設置したり、浴室の床にマットやスノコを置きましょう。また、お湯をためる時に高い位置にシャワーを設置し給湯したり、入浴する5分程度前に浴室のフタを開けておくと蒸気で浴室が暖まります。
2.湯温は41度以下
41度以上のお風呂や長湯は、高体温による意識障害を起こす危険があります。41度以下のお湯で10分までを目安に入浴しましょう。
3.ゆっくりお風呂からでる
お湯に浸かっているときは、血管が広がり血圧が下がっています。その状態で急に立ち上がると、脳まで血液を運ぶことが追いつかず、めまいや失神する可能性があります。
4.同居者がいる場合は一声かける
体調不良になった場合、早く発見してもらうことが重要です。そのために、同居者に声をかけて入りましょう。
鹿児島大学の調査によると、《最高気温》《最低気温》《平均気温》ともに低ければ低いほど、また《日内気温差》が大きければ大きいほど入浴死が増えることが分かっています。
天気予報ならぬ《ヒートショック予報》も開発されており、参考にするのもおすすめです。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
~健康に関するご質問、ご相談について、お気軽にご連絡ください~

令和5年11月号に掲載
2023-11-10
【保健師だより】腸活にチャレンジ

腸内には、様々な細菌が存在しており、その数は1000種類、100兆個いると言われています。これらの細菌は、種類ごとに集団を作って住みついており、その様子がお花畑に見えることから、腸内フローラと呼ばれています。
【腸活とは】
腸内細菌のバランスを整え、身体の機能を改善することです。免疫力アップ、睡眠の質向上、肌荒れ改善、肥満予防効果があると言われています。
【腸内細菌の種類】
1善玉菌
悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促すほか、有害物質を体外へと排出します。
2悪玉菌
脂質や動物性たんぱく質をエサにして、腸内で有害物質を作ります。有害物質が増えると、便秘や下痢を引き起こします。
3日和見菌
善玉菌・悪玉菌どちらにも属さない大多数の菌です。腸内で数の多い菌に味方して働くため、善玉菌を増やすことが大切です。
理想的な腸内細菌のバランスは、善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割と言われています。
【腸活の方法】
善玉菌と善玉菌のエサを摂ることが大切です。
1発酵食品
発酵食品には、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母菌、麹菌など善玉菌が多く含まれています。ヨーグルト、チーズ、納豆、キムチ、 味噌などを積極的に摂りましょう。
塩麹で味付けしたり、酒粕を少量、お味噌汁にいれるのもおすすめです。
2食物繊維とオリゴ糖
食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌のエサになり、その数を増やします。
【食物繊維が多い食品】
ごぼう、にんじん、おくら、ほうれん草、ブロッコリー、納豆、いも類、こんにゃく、海藻、きのこ類
【オリゴ糖が多い食品】
玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、アスパラガス、バナナ
3整腸剤など
乳酸菌(ビオフェルミン)や酪酸菌(ミヤリサン)などの善玉菌を整腸剤で補う方法もあります。また、オリゴ糖もスーパー等で販売しており、そちらを活用するのも良いです。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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令和5年10月号に掲載
2023-10-10
【保健師だより】リフィル処方箋

リフィル処方箋とは、2022年4月から国の制度として導入された新しい薬の受け取り方です。
これまで、調剤薬局で薬を受け取る場合、医師の診察を受け、医師の作成した処方箋が必要でした。病状に変化がなく、同じ薬を受け取りたい場合でも、診察が必須でした。しかし、リフィル処方箋は、最大3回まで医師の診察なしで薬を受け取ることができます。一度発行された処方箋を再度使用し処方薬を〈補充〉するようなイメージです。ただし、長い間同じ薬を飲んでいる等、病状が安定していると医師が判断した場合のみ利用できます。湿布薬と使用できる限度量が決まっている薬(新薬・劇薬・麻薬・向精神薬)はリフィル処方箋対象外となっています。
【メリット】
再診の手間が省けるため、通院の負担軽減につながります。また、再診料などの医療費や交通費の経済的負担も減ります。
病院側も、処方のみを目的とした患者が減るため、外来の混雑緩和や医師の業務負担軽減になります。
【デメリット】
薬剤師・薬局の業務負担増加、病状の悪化が見過ごされる可能性がある、医師と患者の関係が希薄になる等が考えられます。
【最後に】
日本では導入したばかりですが、世界的にみると以前から導入している国が多く、アメリカでは1951年から開始されています。日本では、利用している方が少ない状況ですが、メリットは大きく、今後普及していくと期待されています。また、リフィル処方箋を活用するには、薬局選びも重要です。通いやすいところや信頼できる薬剤師がいるなどを基準にして、かかりつけ薬局を決めておきましょう。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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令和5年9月号に掲載
2023-09-10
【保健師だより】保健師だより~歯と口の健康~
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令和5年8月号に掲載
2023-08-10
【保健師だより】夏に多い脳梗塞にご注意を

猛暑が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 夏は、体内の水分が不足しやすいため、血液がドロドロになり、固まりやすくなります。今月は、夏に多い脳梗塞についてご紹介します。
【種類】
ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まる脳梗塞です。無症状や比較的症状が軽度であることが多いですが、繰り返すと脳血管性認知症の要因となります。
アテローム血栓性脳梗塞
心臓から脳に繋がる太い血管の動脈硬化が原因で起こる脳梗塞です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などがリスク因子となります。
心原性脳梗塞
心臓の中にできた血栓が脳血管を閉塞することで起こります。広範囲の梗塞や出血性梗塞が多く、重症化や他の脳梗塞と比べ死亡率も高くなります。
【症状】
片麻痺
顔や腕に、症状がでやすいです。笑ったときに片側の口角が下がったり、両手を胸の前に伸ばしたときに片側が下がる場合は麻痺の可能性があります。
言葉が出ない
話そうとしても、呂律(ろれつ)がまわらなくなります。唇を使う「ぱぴぷぺぽ」、舌を使う「らりるれろ」がうまく言えなくなります。
視野障害
突然片方の目が見えなくなったり、視野の一部が欠けることがあります。
【治療方法】
tPA療法
血栓を溶かして血流を再開させる薬(アルテプラーゼ)を投与します。発症後4時間半以内のみに使用できる薬のため、発症者の約1割程度しかこの治療を受けられていないのが現状です。
血栓回収治療法
血管にカテーテルを挿入し、血栓を削ったり、吸引し血流を再開させる方法です。
いかがでしたか。脳梗塞は発症後、数分で脳細胞の壊死が始まり時間が経つほどダメージが大きくなります。そのため、初期対応で予後が変わります。
また、防ぐためには、血圧管理が重要です。日本高血圧学会は、140mmHg/90mmHg以上は治療が望ましいとしています。健康診断等で、受診判定だった方は早めに内科を受診してください。
保健師への問い合わせ先:TEL:087-866-4721
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